簿記(ぼき)とは?
簿記とは?ふたつのポイント
簿記が必要な理由は「自由に使えるお金を知るため」とお伝えしました。(前回の記事はこちら)
では、この回では「自由に使えるお金を知るため」に簿記をどのように考えるかを知るためのふたつのポイントをご紹介します。ここでもあなたが社長になったつもりで流れを考えてみてください。
ひとつめのポイント・・・なにかが起きたら、なにかが起きる
簿記を考える上で非常に大切なポイント。それは、
「なにかが起きたら、なにかが起きる」
です。
これが簿記を考える上でのもっとも基本的な考え方です。
たとえば、あなたが洋服屋を始めようと考えていたとします。
金額はわかりやすく小さい金額で考えてみますね。
今は、まだ洋服屋さんのお金は0円です。これではまだお店をどうやっても始めることはできませんね・・・。
つまり、お店を始める場合と言うのは、まずあなた自身がいくらかお金を準備する必要があるんです。
この「お店を始めるためのお金」のことを「自己資金(じこしきん)」といったりします。
あなたは、自己資金として1000円札をお店にあずけたとします。この1000円札のような「お金」のことを、「現金(げんきん)」と言います。
ここでもう一度整理しますね。
あなたのお店には、初めにお金はいくらあったのでしょうか?洋服屋さんをはじめようと思っただけならば、まだお店には1円もお金はありません。
そうです、
0円ですね。
でも、今は1000円札というお金、つまり「現金」をお店にあずけたのでお店には1000円お金が増えたことになります。
これを
なにかが起きたら、なにかが起きるにあてはめたると・・・
お店にお金が1000円増えた理由はなんでしょうか?
この理由はあなたが、自己資金として1000円のお金をお店に預けたというのが理由になります。
このように、必ずなにかが起きたときの理由を考えるのが簿記になります。
では、自己資金によって1000円となった現金が次にどうなるかをみていきましょう。
洋服屋さんであるあなたは、あたりまえですがお客さんに洋服を売らなければいけなせん。でも今は、お店に1000円の現金があるだけで、洋服がありません。
なので、この洋服をなんとかしなければいけません。これには、洋服を売っている別の人を探してその人から洋服を買う方法が考えられますね。あなたは、Bさんから洋服が買うことができることを知って、Bさんから洋服を5着買うことにします。1着は150円です。
5着買うとなると、5着×150円で、750円になりますね。これをもっている現金1000円から支払うとします。
そうすると、現金が750円減ることになりますね。
なにかが起きたら、なにかが起きるにあてはめると・・・
現金が750円減った理由はどうしてですか?
それは、洋服を5着Bさんから買ったからですね?
では、ここであなたの現金はいくらのこっていますか?
1000円-750円=250円
となり、残りは250円ですね。
現金は750円なくなりましたが、
これでようやくお店に5着の洋服を並べることができます。
では、この5着の洋服をお客様に売りましょう。
ですが、ここで洋服をいくらで売るか決めないといけませんよね?
ここでは、1着500円で売るとしましょう。
5着の洋服にそれぞれ、500円の値札(ねふだ)をつけて、いよいよお客さんを待つことに。
1日目は
3人のお客さんが来て洋服を1枚づつ現金で買って行きました。
これによって、あなたは、
3着×500円=1500円
で1500円の現金をいただくことができました。
なにかが起きたら、なにかが起きるにあてはめると・・・
現金が1500円増えた理由はどうしてですか?
それは、洋服が3着売れたからですね。
では、あなたの現金は今いくらになりましたか?
まずはじめに1000円で始めたお店で、5着の洋服をBさんから150円で買ったので、
1000円-750円=250円
次に、1着500円の洋服が3着売れたので1500円の現金が増えました。なので上の250円は次のようになります。
250円+1500円=1750円
となりました。
1000円で始めたお店ですが、洋服を売ったことで750円お金を増やすことに成功したわけです。
でも、お店には2着の洋服がまだ残っています。この洋服は、売れ残ってしまったので、バーゲンセールをすることにしました。500円で売っていましたが、300円で売ることにします。
そうしたら、その2着も現金を受け取って売ることができました。
となると、
洋服は1着300円だったので、それが2着で現金600円をもらったということになりますね。
理由は、洋服を2着300円で売ったから。ということになります。
すると最終的に現金は、
1750円+600円=2350円となります。
お店は1000円で始めたので、
2350円-1000円=1350円が自由に使えるお金、つまり「利益」となることが分かりました。
でも、お店の中には洋服がまたなくなっちゃいましたね・・・。
なので、またあたらしく洋服を買ってこないといけませんが・・・。
このようにお店は、売るための商品、洋服屋さんの場合は洋服を準備して、それをお客さんに売ることの繰り返しであることがわかりますね。そして、その繰り返しの中には常にお金がどうなっているのか?を考えていることがわかると思います。
このようなお金がどうなっているか?を考えることを「取引(とりひき)」と言います。そして、上の例のようなひとつひとつの「取引」はすべて、ノートなどに「ルール」にそって、記入していくんですね。このノートのことを「帳簿(ちょうぼ)」といいます。帳簿に記入するから簿記というわけです。
でも、実際は上の例のように取引の数が少ないことはありません。1か月は30日としたら、毎日取引があったとしたら、30個分の取引がノートに書かれたりするわけです。1年ならば、30×12カ月で360個分の取引をノートに書いていることになりますね。
では、1年間たって、利益がいくらだったか?を出すにはどうしたらよいのでしょうか?
これをルールにしたがって、表にまとめる作業がふたつめに行うことになります。
ふたつめ それをまとめた表を作ること
なにかが起きたら、なにかが起きる
ひとつめのお話しで、必ず何かが起きたらその理由を考えるというお話をしました。
でも、たくさんの取引がノートに記入されていくと、ノートを見ただけで利益がいくらか?とか、お金はいくら残っているのか?を一瞬(いっしゅん)でわかることは難しいですよね。
そのために、たとえば、1か月、3か月、6か月、1年といった、期間ごとに、ノートからルールをもとに、利益などが一瞬でわかる表を作る必要があるんですね。
簿記ではこの表をふたつ作ります。
この二つの表の名前は
・貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)
と
・損益計算書(そんえきけいさんしょ)
といいます。
これらの表の具体的なおはなしは、もうすこしあとで必ずします。今は簡単におはなしすると、貸借対照表は「お金がお店にいくら残っているのか?」などを書いていく表で、損益計算書は「お店がいくら利益が出たのか」を書いていく表だということを頭に入れていただければOKです。
次は、めちゃめちゃ大切な「5つの箱(はこ)」について解説します